MAZDAが打ち出す新たな技術「Gベクタリングコントロール」
今や爆発的人気を誇るCX-5を筆頭に、見た目の格好良さと世界を凌駕するクリーンディーゼルの技術で存在感をどんどん増しているマツダ。好調ではあるものの、次なる一手に欠けると思われていたマツダが、(私個人的に)とても心をくすぐる新技術を打ち出してきました。それがGベクタリングコントロール(G-Vectoring Control, GVC)。今回はこの技術を紹介します。
Gベクタリングコントロールとは
以下に示す公式ブログで紹介されていました。2016年5月25日から3日間開催された、「人とくるまのテクノロジー展2016」の記事です。
この制御技術「G-Vectoring Control」とは、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを緻密に変化させる技術。従来別々に制御されていた横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールすることで、四輪への接地荷重を最適化してスムーズで効率的な車両挙動を実現します。
さて、用語解説を交えて少しわかりやすく(なるかはわかりませんが)説明してみます。
"GVC" の "G" は "Gravity" すなわち「重力」の頭文字が由来です。とは言っても、重力そのもののことではありません。乗り物などが曲がるときや加減速するときにかかる力は、一般的に「地球の重力の強さの〇倍」という表し方が用いられます。そこで、地球の重力の大きさを1として、「横Gが1.5Gかかった」なんて言ったりします。これは「カーブで横向きにかかる遠心力が、重力の1.5倍だった」という意味です。
"V" の "Vectoring"は、いわゆる「ベクトル」のことです。数学的・物理的に言えば、「大きさと向きを持った量」と言われます。話し言葉では、「好みのベクトル(方向性)が違う」なんて使ったりしますね。話が逸れましたが、"G-Vectoring" の意味するところは「車にかかる力の向きと大きさ」ということになります。先ほどの例でいえば、向きは「横」で、大きさは「重力の1.5倍」、ですね。
車の乗り心地に関わる要素として、この 「Gベクトル」 の変化の滑らかさはとても重要です。それを 「コントロール」 するのが、今回のGベクタリングコントロール技術ということのようです。
通常車にかかる力は、
- どれくらいアクセルを踏んだか
- どれくらいブレーキを踏んだか
- どれくらいスピードを出して曲がったか
- どれくらいハンドルを切ったか
というような、運転手の操作によって決まります。運転が上手い人はこれらの操作が上手ですし、まさに「Gベクトル」が「コントロール」された状態を生み出しています。
今回マツダは、独自のエンジンコントロール技術を用いて、ハンドルの操作中にエンジンのパワーを変更することで、より滑らかにGベクトルが変化するように自動で制御する技術を打ち出してきました。エンジンのパワーを細やかに操作することが出来るのは、マツダならではのような感じがします。
以下、試乗レビューなどたくさんの記事がありますので、ご紹介しておきます。
↑この記事は評価の仕方が面白いですね。
いずれも評判は上々。販売店での試乗を大事にしながらマーケティングをしているマツダらしく、乗って分かるスゴさをしっかり表現出来ているようです。
近年の(昔からロータリーとかもありますが)マツダは実に個性的な技術を開発していると思います。実用性と効果が高く、他社が簡単に真似できない技術という意味では、トヨタのハイブリッドにも負けない強みではないでしょうか。走りの楽しさを追求するという点においては、今回紹介したマツダと先日記事にしたスバルの2社がものすごい勢いで前進しています。是非これからも個性を出し続けて頑張ってほしいと願うのでありました。
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