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なぜサウナで火傷しないの?

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http://www.flickr.com/photos/89782582@N00/287499837

photo by SFAntti

 

サウナって気持ちいいですよねぇ。私サウナ大好きなんですよねぇ。

 

さて、皆様も1度は入ったことがあると思います、サウナ。ところでサウナの気温って何度くらいでしょうか?「普通のお風呂が40℃、水の沸騰する温度が100℃だし、まあ50℃~60℃くらい?」なんて思っていませんか?そんなやわなもんじゃありません。通常の乾式サウナの気温は低くても80℃程度、高い所では110℃に達するところもあります。・・・と偉そうなこと言ってますが、サウナに温度計は付き物なので、そんなことは大抵の方が知っていると思います・・・笑

 

ここで本当の問題。100℃もの空気にさらされて、なぜ人間は平気なのでしょうか。普通に考えれば運がよくて大火傷、運が悪ければ体がグツグツと沸騰して煮えたぎってしまいそうです。あーなるほど。読めたぞ。サウナ屋さんはみんな嘘つき、壊れた温度計を使っているんだな!?って、いやいやそうではありません。

 

今回はなぜサウナで火傷しないのか、理由をいくつかご紹介します。

 

理由1. 空気は熱しやすく冷めやすい

当然ですが、100℃の水(お湯)に浸かったらやけどします。しかし、空気なら火傷しません。この差の1つが、空気の温度が変わりやすいことにあります。

 

例えば同じ量(体積)の100℃の水と0℃の水を混ぜると、50℃の水が出来上がります。同様に空気でやっても50℃の空気になります。しかし、同じ量(体積)の0℃の水と100℃の空気を同じ容器に閉じ込めて、温度が均一になるのを待つと、ほとんど0度から変わりません。これは同じ体積の水と空気では、温まりやすさ(冷めやすさ)が4000倍以上変わるからです。人間の体は60%以上が水分なので、ちょっと熱い空気が触れたって皮膚の温度はそこまで上がらず、皮膚表面の空気も温度が下がるので、火傷するほどには至らないのです。

 

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水の方が温まりにくく空気の方が冷めやすいので、空気はほぼ0℃まで下げられ、水はほとんど温まらない。

 

理由2. 汗をかくと体の表面が冷える

露天風呂に入るとき、お風呂に入る前の乾いた体ではそんなに寒くないのに、一度お湯に浸かって濡れた体で外に出てしまうと、とってもひんやりしますよね。これを気化熱と呼びますが、水は蒸発するときに周りを冷やしていくのです。夏に打ち水をするのも、暑いと体が汗をかくのも、この気化熱で冷やすためです。

 

100℃もの高温のサウナは、ジメジメしているようなイメージがあるかもしれませんが、実はとても湿度が低く乾燥しています。なので洗濯物もよく乾きます。人の汗もガンガン乾きます。この時、皮膚表面で気化熱による冷却が起きるのです。つまりサウナに入ってる人たちは、ありのままの姿で体の表面に冷気のオーラをまとった、言わば氷の女王なのです!(※そこまでは冷えていません)

 

理由3. 空気は密度が低い

これは理由1にも繋がる部分なのですが、流体(液体の水や気体の空気など)は、分子(顕微鏡でも見えないくらい小さな小さなつぶつぶ)がわんさか集まってヒュンヒュン飛んでいる状態になっています。そして流体の温度は、このツブツブの飛んでいる速さ(と重さ)で決まります。速く飛んでいるほど温度が高いことになり、熱いものを触ると、ツブツブが剛速球のようにぶつかってくるため熱いと感じるのだと思ってください。(※科学的に正確な説明ではありません)

 

ところで水と空気、どちらが重いでしょうか。・・・と聞けば、普通は水が重いとなりますね。「100kgの鉄と100kgの綿、どちらが重い?」なんていうひっかけ問題もあるように、重い軽いは比べるものの量によるため、水の方が重いとは本当は言えませんが、こういう感覚的に重いということを「密度が高い」と言います。ずっしりしていれば密度は高く、ふんわりしていれば密度は低いです。空気は水に比べて密度は低いですが、これは先ほどのツブツブがあまりたくさん詰まっていないことを意味しています。

 

同じ温度では水でも空気でもツブツブの飛ぶ速さは同じです(ということにここではします)。でも空気の方がツブツブの数は全然少ないです。ということは、ぶつかってくるツブツブの数も少なくなります。つまり、体へのダメージ(熱の伝わり)が少ない!ということになります。*1

 

要するにどんなに優秀なキャッチャーでも、50人の大谷翔平が同時に160km/hのストレートを投げて来たら、受け止め切れないのと同じです。(※科学的に正確な説明ではありません!)

 

余談. 液体窒素に手を入れても大丈夫!?

理由1で述べたのと同じ理由で、-196℃の極低温にもなる液体窒素に手を突っ込んでも、すぐに手がカチンコチンになるということはありません。なぜなら、手の温度が高いため、液体窒素がすぐに気体に変化し、温められてしまうためです。実際に手を突っ込むと、液体を触っているような感覚は全くなく、ひんやりした空気をかき回しているような感覚でした。もしこの時に液体に触れたような感覚がしてしまったら、その瞬間に大惨事を覚悟してください。また、万が一液体窒素の入った金属容器面に触れたりすればアウトですし、長時間入れていれば凍傷にもなります。大変危険ですので、安易に真似はしないでください。

 

 

以上、サウナで火傷をしない理由でした。まあ実際に入っても大丈夫なのですから、細かいことは気にせず、これからもサウナを楽しんでくださいね!サウナの後はしっかり体を冷やさないと汗が引かないので、ご注意を!

*1:実際には、液体と気体では熱の蓄え方や伝え方が異なります。しかしツブツブが触れあうことで熱が伝わる点は共通で、熱の伝わる速さはツブツブの詰まり具合である密度に影響されます。